緑内障について
緑内障とは
眼球は眼球の中の圧力【眼圧(がんあつ)】が外よりも高く保たれており、このおかげで、身体を動かしても眼球の形が変わらず、網膜の上にきちんと映像を結んで、ものを見ることができます。
ところが、眼球の後ろにある視神経はとても繊細で、眼圧に耐えられないと押しつぶされて、傷ついてしまいます。残念ながら傷ついた視神経は元には戻りません。
その結果、大事な視神経の数が減ってしまい、視野(しや)がだんだん欠けていきます。これが「緑内障」です。しかし、初期の緑内障は痛みもなく見えにくさを感じない事も多く、気づかず放置してしまう方も多くいらっしゃいます。気づかずに放置しておくと徐々に進行し、ついに失明に至る怖い病気です。実際、緑内障で失明する人は、以前までも多く、糖尿病網膜症に次いで2番目だったのですが、厚生労働省の報告で現在は第1位となっており、油断のできない病気なのです。
緑内障の予防には早期発見、早期治療が非常に大切です。
下記の症状や思い当たることがありましたら、ぜひ当院にご相談ください。
緑内障の症状
このような症状はありませんか?
最近、パソコンのマウスを動かしたときに画面上にある矢印が見えなくなった、
新聞などの細かい活字が読みにくい、
バスの時刻表が見にくい、
目が疲れやすくなった…
なんてことはありませんか?
このような症状があらわれたら、それは緑内障のサインかもしれません。緑内障とは、視神経の障害によって、ほとんど自覚症状なくしだいに視野が欠けていく病気です。
緑内障には、急激に発症するもの(緑内障発作)とゆっくりと進行するものがあります。
急激に進行するタイプの緑内障は、急激な目の痛み、充血、頭痛、嘔吐などの症状を来たします。激しい症状であるため、異常に気付き眼科受診していただけることも多いのですが、中には嘔吐の症状が表立って出た場合、内科受診されて治療が遅れるケースもあります。急激な緑内障を発症しやすい方は事前に診察で解ることがあります。目の状態によって、発作予防のための事前処置をします。ご自分が発作を起こしやすい目のタイプを知っておくことも大切です。
ゆっくりと進行するタイプの緑内障は、潜在している患者さんがたくさんいるとされるくらい、かなり症状が進むまで気づかないことが多いことが特徴とも言えるでしょう。先ほど述べた、日常生活での違和感や疲れかな?と思うような症状の中に、視神経の障害でじわじわ出てきた視野欠損によるものが含まれている場合があります。
緑内障の特徴
緑内障にかかると、知らないうちにじわじわと視野が欠けていきます。 視野の欠け方には個人差がありますが、たとえば下図のように進行していきます。灰色の部分が視野の欠損部分です。
緑内障の視野イメージ(右目の場合)
年齢的な変化で視神経が痛んでくることが多いのですが、加齢と言っても、40歳を越えたら注意が必要です。
緑内障の中でも、正常眼圧緑内障と言って、眼圧が正常でも視神経障害が進行するタイプの緑内障は40歳から急増しているといわれており、決して高齢の方だけの病気ではありません。40歳以上の20人に1人が緑内障に罹っており、その90%の方が治療を受けていない潜在患者さんと言われています。
40歳を越えたら、年に一度は、緑内障検診を受けることをおすすめします。
知らないうちに視野が欠けていき、放っておくと失明の恐れもあります。
緑内障にかかると視神経が障害を受け、5年、10年といった単位で、じわじわと視野が欠けていきます。視野が狭くなったり、部分的に見えなくなったりするのですが、片目が見えていない部分をもう片目が視野を補ったりするため、初期段階では視野の欠けに気がつきません。ご自身で「視野が欠けている?」と気づいたときには、かなり病気が進行しているケースが多いです。
緑内障の原因
どんな人が緑内障になりやすいとか、この生活習慣は発症するおそれがあるとか、そういったことはあるのでしょうか?
原因ははっきりとしていない緑内障ですが、気をつけたほうがいい人や生活習慣を見ていきたいと思います。初期の自覚症状がほとんどないとはいえ、何ともなくても日頃からの心がけが重要になります。
緑内障になりやすい人
血縁者に緑内障の方がいる人は緑内障になる確率が他の方よりも高いので要注意です。
そのほか、強度近視の方も、視神経や視神経周囲が傷みやすい場合があります。低血圧の人、冷え性の人なども、緑内障は血流障害で視神経障害が進む場合があり、注意が必要です。
また、緑内障の中でも、閉塞隅角緑内障は、もともと遠視の方で、昔から目がよくて眼科には全く縁がない生活を送られていた方に発症するパターンが多く見受けられ、目がいいから安心というわけではありません。
緑内障になりやすい生活習慣
次は緑内障になりやすい生活習慣を見ていきましょう。
デスクワークなど長時間下を向いたまま仕事をしている、一度にたくさんの水を飲むなどの行動は、目の中の水の流れを滞らせ眼圧を上げてしまう可能性があります。
緑内障の治療について
一度障害を受けた視神経は元には戻らないため、緑内障を完治させることはできません。
したがって、緑内障の治療は、視神経がダメージを受けてこれ以上視野が狭くならないような対処療法になります。現在の緑内障治療は、眼圧を下げることが基本となります。
点眼薬による治療
眼圧を下げる効果のある目薬を点眼します。具体的には、房水の産生を抑える効果がある薬や、房水の流出を促す効果がある薬を点眼して、眼圧を低下させます。もともと眼圧が高くない人でも、眼圧を下げることによって、病気の進行を抑えることができます。
点眼薬はたくさんの種類がありますので、効果や副作用の有無を見ながら適切な組み合わせを選択していきます。
内服薬による治療
点眼薬で眼圧降下が足りない場合や急いで眼圧を下げたい場合に使用します。内服薬は体への負担が大きく、永久的に継続できる治療とは言えません。
外科的療法による治療
点眼薬や内服薬を使っても、視野の欠損が進行する場合には、外科的治療を行います。レーザーを房水が排出される部分(線維柱帯)に照射し、房水の流出を促進する「レーザー療法」や、手術で線維柱帯の一部を取り除いて房水の逃げ道をつくる「線維柱帯切除術」、線維柱帯を切り開き房水の生理的な流出路の回復を目的とした「線維柱帯切開術」などがあります。また最近、房水の流出路をインプラントで作成するインプラント手術も保険治療に加わりました。