レーザー治療について
網膜光凝固術(レーザー治療)とは?
網膜光凝固術(レーザー治療)は、眼底の病気に対しておこなわれる治療法で特定の波長のレーザー光で病的な網膜を凝固させることにより病気の進行を抑える治療方法です。
適応となる疾患に網膜光凝固術は、糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症、中心性漿液性脈絡網膜症、網膜裂孔などの眼底の病気に対しておこなわれる治療法です。
糖尿病網膜症
糖代謝異常に伴い網膜に異常をきたす疾患で血流が悪くなった領域(無血管領域)に網膜光凝固をおこなうことにより、網膜の虚血や低酸素の状態を改善させて新生血管の発生予防や視力低下の原因となる黄斑浮腫の軽減・消退する効果が期待できます。網膜症の病勢を抑えることが目的で直接に視力が回復するわけではありませんが、進行した症例に対しては有効な治療方法です。
症状の進行について
時期としては数年から10年、網膜症の所見としては網膜出血、毛細血管瘤、硬性白斑、単純糖尿病網膜症で自覚症状はない。
晩期になると黄斑浮腫や硝子体出血や網膜剥離で視力低下することが多い
網膜静脈閉塞症
網膜静脈の血管が詰まることにより、眼底出血や網膜浮腫を生じる病気で網膜の出血や浮腫が黄斑部にかかった場合は視力が大きく低下し50歳代から60歳代以上の高齢者に多くみられ、高血圧・動脈硬化・不整脈などが原因となることが多い病気で、血管閉塞による無血管野が広範に認められる場合や網膜浮腫が強い場合は、新生血管の発生予防や網膜浮腫の軽減・消退を目的として網膜光凝固術をおこないます。静脈の根元が閉塞する『網膜中心静脈閉塞症』と、静脈の枝分かれした一部分が閉塞する『網膜静脈分枝閉塞症』があり、動脈硬化、高血圧、糖尿病のある人に多いとされています。
中心性漿液性網脈絡膜症
網膜の黄斑に脈絡膜から漏れ出た液がたまってしまう病気で、30歳代から40歳代の男性に多くみられます。疲れやストレス、酒、タバコなどが誘因となることが多く、視力低下や中心暗点、変視症、小視症などを生じます。自然に半年ぐらいで治ることもありますが、再発しやすい特徴があります。症状が強く、治りが悪い場合は、蛍光眼底撮影で確認した漏出点をレーザー凝固する治療をおこないます。
網膜裂孔
網膜に裂け目ができて穴が開いた『網膜裂孔』をそのままにしておと、その裂け目から水が入りこんで網膜が徐々に剥がれ、網膜剥離が拡がってしまいますが、網膜裂孔のまわりをレーザーで焼き固めることで進行を阻止します。しかし、このような病気がおこっても症状が全く出ないことも少なくありません。